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生駒山系の大阪側もまた面白い。生駒山の西側に大阪湾があるのに、川は大阪湾に直進せず、ほぼ淀川まで北上し大阪湾に注ぎ込んでいるのです。奈良盆地から流れてくる大和川も、今は西の大阪湾に直接に流れていますが、かっては大阪城の北東まで北上していたのです。大和川になったのは江戸時代、河川改修により流れを変えたということは、よく知られています。
で、大和川を南限として南北に位置する生駒山系の東面(奈良側)の水は南部は大和川、北部は木津川・淀川に注がれます。一方、西面(大阪側)の水はどうなるのかというと、生駒山系南部の谷川を集めて恩智川となり、やはり北上し、生駒山系北部の水を集めた寝屋川と合流し、淀川に注ぎ込んでいるのです。恩智というのは、河内二ノ宮の恩智神社と関係があるのでしょうか。河内一ノ宮である枚岡神社周辺の水も恩智川に流れているのですが、川の名前は恩智川なのです。(両社ともに、元春日といわれる古社です。)
そして、生駒山系も六甲山とおなじく断層で出来た山、よって谷は急峻で滝も見られます。かっては水車小屋もたくさんあったようです。地図で調べると、谷に沿って小さな寺が多数見られます。まるで山岳寺院のようですが、そのほとんどが近代のもののようです。寺も外観は一般民家のようとのことです。
大阪は在日コリアンが沢山住んでいる土地柄。実は、その寺々はその女性たちの信仰の拠り所であるとのことです。生駒の東側には日本の古代の山岳信仰が息づき、西側は現代のコリアンの信仰が息づいている。しかも、基本的に山間に入り、清らかな水が必要という共通性に驚かされるのです。古来から渡来人が多く住み着いたのもこのあたりでしょうから。
「初夏の生駒、仏と水のらくちんコース」、この面白い山道を歩きませんか。
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